さかな 感想まとめ

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朗読劇 やがて君になる 佐伯沙弥香について 感想

やっと見たよささつ!

2020年公演の「朗読劇 やがて君になる 佐伯沙弥香について」をBlu-rayで観劇した感想です。

  • 前作の舞台「やがて君になる」は観劇済み
  • 原作はまだ読んでません
  • がっっつりネタバレしてますので未視聴の方はご注意ください

 

 

 

 

感想なんですが、
観に行けばよかった

「まぁ朗読劇だし観に行かなくていっか」つってたあの時の自分...ほんまなにしとん...。
朗読劇と言いつつ動きの演出が盛り沢山だし、朗読劇ならではの良さが上手く活かされていて、すごく良かった...見にいけばよかった...。

 

youtu.be

ダイジェスト動画。
ささつ未観劇の方、動画を見て気になったらblu-rayを買ってみては!特典映像もすごく豪華です。

 

 

では感想です。



冒頭の沙弥香のセリフが胸に来たので書かせてください。

自分が「出来る」人間なのだと早々に知った

この場合の「出来る」というのは、努力を重ねれば成果を出せるということ、そしてその継続ができるということ
私はその二つの価値と意味を他の子より早く理解したのだと思う

出だしでグサッと来た
中高生でこれが言えるってすごいことですよ
やればできること、努力が継続できること。この二つは生きていく上で物凄く強みになる能力ですよね。
ただこの大事さに気づくのって、もっと大人になって、良くも悪くも効率化することを覚えて、「堅実に努力を続ける」という胆力を忘れかけたときじゃないでしょうか。少なくとも私はそうでした。
でも佐伯沙弥香は10代そこそこで「努力ができる」ことの強さを知っている。いいなぁ羨ましい。賢さ、自分を客観的に見る力、堅実さを厭わない純粋さ。沙弥香の人となりが一文で伝わってきました。まさに「佐伯沙弥香について」の冒頭にふさわしいセリフだなと思った。

 

この舞台、本当にセリフが素敵なんですよね。この後も何回も書くと思いますが本当に言葉選びがきれい...。沙弥香の心情の言い表し方がすごく細やかで、共感できるんですよね...。

 

 

  • 語りのふたり

沙弥香の心情を、語りのふたりが沙弥香に寄り添って話してくれるのがすごく気に入りました。
語りの2人によって沙弥香の心情がかなり細かく描写されていて、やが君の繊細さにぴったりの表現だなと思います。
語りの2人が沙弥香を見守る優しい目線が好き。

あと語りの2人の衣装に付いてるふわふわがめちゃ好き
沙弥香に寄り添って歩くと、ふわふわが翻ってうしろにふわっとした痕跡が残るんです。きれいだしかわいいし、まさに妖精さんみたいで非現実な存在なのが感じられて素敵!
語りが男女2人いるのもめっちゃいいな...。声が変わるだけでパッと雰囲気が変わる。
この構成を考えた人すごいな...。

 

 

  • 柚木先輩

沙弥香ちゃん!ううん、呼んだだけ
柚木先輩かわいいんだよ...。途中から辛いしキツいですが嫌いになりきれない。
表情豊かで、わーきゃーして恋に浮かれていていてかわいいんだ...。
キャストの七木さんがこういうきゃぴっとしたお芝居をされるの新鮮でした。
沙弥香と一緒にかわいい先輩を好きになりました。

柚木先輩からの告白
告白する間際にふたりが手を伸ばし合う仕草、すごく予感めいていて好きだ...。
語りの2人が沙弥香の心情をこれでもかと語ってくれるので、そこに関してはあれこれ想像する余地はないのですが、その反面でこういった手を差し伸べ合う仕草を見ると、あぁ今ふたりの気持ちが向かい合ったんだなぁ...とこちらで想像させてくれますね。奥ゆかしさというか繊細さを感じて好きです..。

先輩と沙弥香の電話で、
「してみたかったことしてます、こういうこと」
キスするとき、
「いいんですか?」「いいで、しょう!」

先輩かわいいんだよ...!初めての恋人に浮き足立ってる!

キスで気持ちを自覚する沙弥香
一方先輩はキスした後に「あれ...?」
なに?不穏なのやめてくださいよ先輩

卒業後、久しぶりに会ったのに気もそぞろな先輩
いつも先輩がリードしてくれていたのに、電話で何の話題も出してこない
賢い沙弥香、うっすらと先輩の気持ちに気づき始める

もおおどんどんしんどくなってくる...。沙弥香が幸せな初恋をするんだとばかり…。高校での沙弥香の恋を思うと、なんというかせめて中学ではこんな思いしてほしくなかったんですが...。



気持ちの整頓をしてみたかったから
私もね、いっぱい考えてるんだよ

ああ言い訳がましいセリフだけど、先輩もいっぱいいっぱいなのが伝わりますね...。どう伝えればいいのか悩んでいるのか...。

そして別れを告げられる沙弥香

もう子供じゃないんだから
遊びでこういう付き合いをするのは良くないと思うの

 

 

 

 

 


絶句
「気の迷いだったのよ」と言い募る先輩 なんてことを...。
「もう好きじゃなくなった」ならばまだ納得のしようもあったのに、「そもそもが間違いだった」と...。言い訳がましくて押し付けがましい。私は素直な先輩が好きだったのに...。
少なくとも沙弥香は本気で好きになっていたんだぞ...せめて沙弥香の話を聞いてほしかったよ
先輩も悩んで、沙弥香が傷つかない話の切り出し方を...と考えたはず(と思いたい)ですが...どうなんだろう...。
ちょっとここで大ダメージでした

 

 

 

  • 高校進学、燈子との出会い

燈子登場、失恋の傷を忘れて燈子に見入ってしまう沙弥香

光の加減では青味を帯びるようにも見える美しい黒髪と瞳の持ち主
近くで見てみると感情が七海燈子一色に染まる。そして、吸い寄せられていく

いや説得力よ。
燈子のビジュアルが、語りそのままで説得力がありすぎる。ちゃんと青味を帯びた外見になるようにライトが当たっているのも最高です。沙弥香と一緒に吸い寄せられる感覚になった。
一目惚れを「感情が七海燈子一色に染まる」と表現する言葉選びが本当にうつくしい。

上品だけど言葉尻が快活な燈子いいな
「沙弥香は優しいのね」じゃなくて「沙弥香は優しいな」とか
クラスメイトの告白現場を興味津々で覗いたり、茶目っ気がしっかりあって、人気者になるなって感じ

生徒会劇がやりたいから手伝いをしてほしい、と燈子に頼まれる沙弥香
好きな子に頼られるって嬉しいし心地いいよね〜

 


燈子が猫とたわむれるのを見て、好き...ってなってる沙弥香の心情描写がかわいい
ここで沙弥香は、燈子の秘密に踏み込まないことを選ぶ

私だ、私なんだ、私が選んで今の私なんだ

そうですよね...。本当にいいセリフだ
今までの選択が積み重なって今の沙弥香になっているのであって、その沙弥香が燈子と距離を詰めない選択をしたのは自然なことで、間違ってるとは思えない
人生そのものみたいなセリフですね...大好きです

この後も「生徒会劇のシナリオの変更に賛成するか」「燈子に気持ちを伝えるか」と、明確に沙弥香が選択をする場面が続きます。
守りの選択をしない沙弥香。燈子だけでなく沙弥香も変化したことが分かる。
選択がその人の人生を作るのだと言われているようで胸に刺さりました。

 

  • 槙くん

七海先輩って小糸さんのことをすごく気に入ってますよね
佐伯先輩って、七海先輩ともっと仲が深いものだと思ってました

え!?
ままま槙くんちょっと静かにしてくれ 怖すぎて目チカチカしたわ
なんでそんな抉ってくんの?佐伯先輩に恨みでもあるんか??
他人の恋愛を観察するのが好きだとは知ってたけど...共感性を持たない人なのか...いや共感しようが無いから純粋な好奇心なのか…槙くんがどんな人かも掘り下げて知りたい

 

 

 

  • 燈子への告白

中学時代と同じく、ここでもお互いが手を伸べ合うんですよね...。
やっと自分から「好き」と伝える選択をした沙弥香。
やっと言えたね、よかった...。もうこの辺から涙腺がやばい

人から好きと言ってもらえて嬉しいと思えたのは、はじめてだった

よかった...よかった...
燈子と恋人にはなれなかったけど、燈子からこの言葉が出た以上、沙弥香と燈子の人生は確かに交差したと言える。辛いけど沙弥香がしてきた選択は間違いじゃなかったと思える。


いってくる
そう言って去っていく燈子の表情、いろんな感情が詰まっていてキラめいてました
最後でそんな魅力的な顔しないで...忘れられない表情です。ううう...。

 

 

 

 

キリが無いのでこれくらいにしておこう。
佐伯沙弥香幸せになれ!!と祈りつつ、たぶん私が祈らなくてもきっと沙弥香は幸せになるのだろうなぁと感じます。
恋愛劇でしたが、私にとっては「選択」という人生の命題みたいなものを感じる舞台でした。

最後になってしまったけど磯部さんのお芝居、とても素敵でした。ぜんぶの心で佐伯沙弥香を生きていらっしゃるなと感じた。
アンコール公演も楽しみにしています。いつか必ず幕が上がりますように。